印度維新

インドの政治・経済・時事を語る井戸端ブログ

続報:英下院はどのように議会休会を阻止したか。それでも「合意なき離脱」を阻止できない理由

一部の日本メディアは「合意なき離脱」はジョンソンが議会を休会させて強行突破することで起こると報じているようだ。しかし、この選択肢は英下院が先手を打って阻止した。EU離脱とは関係のない法改正案を利用し、実質的に議会休会を不可能としたのだ。この…

イギリス:ボリス・ジョンソン首相誕生へ、「合意なき離脱」のシナリオは本当になくなったのか

予想通り、ボリス・ジョンソンが保守党党首に選ばれた。まあ、選ばれてしまったからには仕方がない。ロンドンからパリやフランクフルトやアムステルダムに移住したいとも思わない。彼の個人的利益とイギリスの国益が一致することを願うばかりだ。 周りにがパ…

続々生まれる”Soonicorn”にユニコーン、インドスタートアップに革命の予兆

インドのスタートアップセクターが激動しており、革命の予兆を感じさせる。評価額10億ドル以上の非上場ベンチャー、ユニコーン企業が続々と誕生している。今年これまでにユニコーンとなった8社の中には、グローサリー(食品雑貨)のBigBasket、ロジスティ…

ユニクロR&D統括責任者、勝田幸宏氏がインドメディアに登場

地域ごとの刺繍とプリント。地図上にあるのはほんの一部。 ユニクロが今秋、同時期にインドに3店舗をオープンすることは日印両国のメディアで大きく報じられた通りだが、10月頃にデリーに1号店がオープンするのに先駆けて、先週、現地で”LifeWare”のプレ…

イギリス:デジタル・文化・メディア・スポーツ省、英印スタートアップ支援へ

今週頭に掲載された、英DCMS(デジタル・文化・メディア・スポーツ省)のプレスリリースは、英印両国のテクノロジーセクターのコラボ推進のためのイニシアチブを告知する内容だ。メイ、モディ両首相により2018年4月に発表された、英印テック・パートナ…

おめでとうございます!住友不動産、ムンバイのBKC区画を落札

map2019.hatenablog.com 地元業者に「クレイジー」と言わしめたお値段で落札。締めて、3エーカーに2,238クロー(約325百万米ドル、358億円)。MMRDA(Mumbai Metropolitan Region Development Authority:ムンバイ都市開発公社)によると、海外企…

インドIPO市場、今月末から続々

今年上半期のIPO(initial public offering:新規公開株)は8社のみ(調達総額5,509クロー)。前年同期の24社、30,960クローに比べるとかなり少ない。2017年は年間36社、67,200クローだった。総選挙前の軟調地合があったとはいえ、ガ…

インドとイギリス、二国間貿易のワーキング・グループ設置へ、AI共同開発への布石か

昨日、インドとイギリスは、ロンドンで開催されたJETCO(Joint Economic and Trade Committee)において、二国間の貿易障壁を克服するため、三つのワーキング・グループを立ち上げることに合意した。食飲料品、ヘルスケア、データサービスの各セクターのワー…

太陽光発電セクターで”Make in India”に参入すべし

インドは、化石燃料への依存から脱却すべく、再生可能エネルギーの開発に努めているが、政府は、中でも、太陽光発電に将来の可能性を見出そうとしている。ISA(International Solar Alliance:国際太陽光連盟)は2015年にモディ首相と当時の仏オランド大…

テマセク(Temasek)、インド投資拡大へ

シンガポール政府傘下の投資会社、Temasek(テマセク・ホールディング)がインド投資を拡大する方向だ。Temasekのシニア・マネジング・ダイレクターがインド国内メディアのインタビューに答えた。Temasekのインド投資は15年前に始まり、インドポートフォリ…

イギリス次期首相、秒読み段階のボリス・ジョンソン、英印関係を公約に

「イギリスとインドの関係は通商関係を超えた深いものでなければならない。」とは、今週頭に報道されたボリス・ジョンソンの言葉だ。イギリスの前外相にして元ロンドン市長、そして、次期首相としては秒読み段階にあるジョンソンが公約したのは、インドとの…

イギリス:捨てる神あれば拾う神あり

タタ・モーターズ傘下のジャガー・ランドローバー(JLR)は先週、バーミンガム近郊のカッスル・ブロムウィッチ(Castle Bromwich)にジャガーEV(電気自動車)の工場を設立すると発表した。2019年の"World Car of the Year"であるジャガーの高級SUV、I-P…

インド、AIとIoTチップ設計のメッカへ

時代は汎用CPU/GPUを使用したソフトウェアから、企業ニーズに合わせた高度に特殊化したチップの設計へと移行しているが、中でもIoT(Internet of Things:モノのインターネット)に実装するAIチップの開発競争が激化している。アップルのiPhone、グーグルのP…

インド新予算案:5年以内に5兆ドル(約540兆円)経済へ

インドの新予算案が発表された。その中で個人的に目に留まったのが、「今年度中に、Credit Guarantee Enhancement Corporation(目的は債券発行にあたっての信用保証)を設立する」というものだ。特に、社債市場のインフラ強化で債券市場の発展を目指す。RBI…

日本の韓国向け輸出規制をインドメディアはどう報じたか

想像に容易いと思うが、インドでは日本と韓国の長年の軋轢を知る人々は多くない。今回の日本の韓国向け輸出規制をインドの国内メディアがどう報道するのかが気になった。案の定、歴史的な背景を丁寧に綴るメディアはほとんどない。日本にとって、同じ歴史問…

インドの最高学府といえば

非居住者の、それもごく一般的な外国人が思い浮かべることができる世界の超一流大学の数はさほど多くはない。世界広しと言えど、固有名詞が浮かぶ大学が存在する国の数もそう多くない。イギリスのオックスブリッジ、アメリカのハーバード、MIT、スタンフォー…

インド債券ファンド:株式配分ゼロで勝ってます

インドNPS(National Pension Scheme:国民年金制度)の債券ファンドが絶好調だ。ベストパフォーマーは、LIC年金基金(生命保険法人、Life Insurance Corporationの年金基金)の国債ファンドでこの一年で20%のリターンとなっている。昨年まで2年間のリタ…

インド株式市場:化学株高騰中

国内化学銘柄が好調のようだ。一部メディアは化学株セクターの時価総額が今後5、6年で2.5倍になると予想している。2025年までには870億ドル相当になるとか。化学5銘柄で形成されるカスタム・インデックスは今年に入って30%も高騰している(5…

行け日本企業!住友不動産、ムンバイのBKC区画を落札か

日頃から、日本企業のインドでの出遅れにヤキモキしているインド人のつれあいはいつになく機嫌が良い。それは昨日の国内メディアのニュースだ。「Sumitomo Corporation(住友不動産の方)、ムンバイのBKC(Bandra-Kurla Complex: バンドラ・クアラ複業商業施…

「中国撤退してインドにおいでよ - モディ」

国内メディアの”情報筋”によると、インド政府は、企業に中国撤退、およびインドへのシフトを促す政策をまとめているようだ。同時に、輸出拡大を狙う一環としては、米国企業がこれまでに中国へ輸出していたセクター、つまり米中貿易戦争により、米国企業が撤…

ブレグジット:たまにはイギリスの話もしてみよう

イギリスの新首相の人選も大詰めに入ってきた。先週木曜に行われた保守党党首選の最後の議員投票で、候補者は当初の10人から2人に絞り込まれた。前外相のボリス・ジョンソンと現外相のジェレミー・ハントだ。今後は全国16万人の保守党党員による郵送投…

インドのスタートアップ、2024年までに5万社に

「2024年までにスタートアップ5万社」とは、先週、ゴビンド大統領の議会演説に盛り込まれた政府目標だ。モディ政権はスタートアップのビジネス環境の簡素化を進めている。その促進を図る一環として、商工省の産業政策推進局は、昨年より、州、自治体の…

外国機関投資家の熱視線は中国からインドへ

外国機関投資家のインド株投資が増えている(今年1〜5月で純総額110億ドル)。過去4年間の年間投資額を上回るスピードだ。ベンチマークのBSE Sensexも年初より12%急伸。政治の安定、改革気運の高まり、教育を受けている中流階級の台頭がその背景だ…

印米防衛協力強化の立役者、米議会のインドコーカス

米上院のインドコーカスは2004年、共和党議員ジョン・コリンと、時の民主党議員ヒラリー・クリントンによって設置された。コーカス(caucus)の語源はアメリカ先住民族の「相談相手」を意味する"Cau-Cau-a-Su"で、非公式会議、または幹部会のことをいう…

証券アナリスト試験に殺到するインドの若者

AIに職を奪われる職業にも上がっている証券アナリストだが、今ところ、その人気に陰りはないようだ。CFA(Chartered Financial Analyst)とは米国の証券アナリスト資格だが、今年の世界各地(90カ国95市場)の受験者総数は史上最高の約25万人(前年比…

インドの本気:非公式経済からの脱却

インドを非公式経済から公式経済へと移行させようとするモディ政権の断固とした姿勢(脱税や地下経済一掃のため高額紙幣を即日廃止)は以前にも書いたが、先週金曜にCBDT(Central Board of Direct Taxes: 直接税中央委員会)が発表した内容もそれに合致する…

モディ首相からの手紙

モディ2.0で新設されたJalシャクティ(水力)省の一番のプライオリティは以前にも書いたが、「全ての家庭に水道管を」だ。この目標を達成するため、モディ首相は先週、インド中の村長に手紙を書いたそうだ(一体何人?)。このモンスーンの間の貯水と水の…

バランサー外交からの脱却へと舵を切るインド

「英国は永遠の友人も持たないし、永遠の敵も持たない。英国が持つのは永遠の国益だけである」とは、19世紀の英国の宰相パーマストン卿の言葉だ。21世紀にブレグジットを選択した英国にも通ずるところがあるのではないだろうか。メイ首相が引きずり降ろ…

カッチャからパッカへ:インドの住宅革命

2022年8月15日、インドは75年目の独立記念日を迎える。日本の終戦のちょうど2年後に、インドはイギリスの植民地支配から脱却、独立した。インドの独立記念日は毎年祝われているのだが、モディ首相はこの75年目の独立記念日を節目と見ている。そ…

マルチリンガルを奨励するモディ政権

インドでは州によって言語が異なる。それらは単なる方言ではなく、言語が違えば、筆談もできない。連邦政府の公用語はヒンディー語だが、州の公用語としては英語を含む22の言語が憲法で認定されている。だから、モディ政権が、コングレス党政権時代に比べ…