印度維新

インドの政治・経済・時事を語る井戸端ブログ

インドのスタートアップ、2024年までに5万社に

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「2024年までにスタートアップ5万社」とは、先週、ゴビンド大統領の議会演説に盛り込まれた政府目標だ。モディ政権はスタートアップのビジネス環境の簡素化を進めている。その促進を図る一環として、商工省の産業政策推進局は、昨年より、州、自治体のスタートアップ・ビジネス環境ランキングを発表している。昨年は27州3自治体が参加し、グジァラート州がNO.1に輝いた。ランキングは、7項目に渡る30の履行すべき行動によって、起業家を育むエコシステムの構築度合が審査され、決定される。内容的には、規則の簡素化や公共調達の規制緩和、インキュベーション、シード・ファンディング、クラウド・ファンディング、啓蒙、宣伝活動など、多岐に渡る。今年の審査対象の締切は9月末だ。

 

追い風に乗って、ユニコーン企業(評価額10億ドル以上の非上場ベンチャー)が人材獲得に動いている。Swiggy(出前サービス)、Oyo Room(ホテル予約)、Udaan(ビジネスtoビジネス取引プラットフォーム)、BigBasket(e食料品雑貨)、PolicyBazzar(e保険比較)、Zomato(レストラン検索)、Paytm(EC決済)、Freshworks(ビジネスソフトウエア)などだ。国内メディアによると、ユニコーン企業の採用は平均にして毎年5割増の勢いだ。Oyo Room、Udaanに至ってはそれぞれ、160%、250%というスピードで過去3年間突っ走っているそうな。

 

さて、待ったなしのインドのスタートアップ市場、日本勢はどこに出資しているだろうか?ソフトバンクと言えば、一時期FlipKartの最大株主で、昨年、ウォルマートがFlipKartを買収した時に、ウォルマートに持ち株を売却し、短期間で大きな利益(15億ドル)を得たことが記憶に新しいが、彼らのインドのスタートアップ買いは続いている。国内メディアの情報筋によると、Swiggyに出資する話は大詰めを迎えていそうだ。調達資金10億ドルの内、300百万〜500百万ドルをソフトバンクが出資する可能性があるということだ。同筋によると、ソフトバンクはSwiggyとZomatoの間で投資対象を決めかねていたが、どうやらSwiggyに軍配が上がりそうだ、というもの。ソフトバンクの方は当然ノーコメントだ。Swiggyは昨年、評価額が10億ドルを超え、晴れてユニコーン企業となった。これまでに調達した15億ドルの出資者は、南アフリカのNaspersを筆頭に、香港拠点のDST Global、アメリカのAccel PartnersやNorthwest Venture Partnersなどだ。また、ソフトバンクは、直近では、Cure-Fit(ヘルスケア・ウエルネス)への出資も囁かれている。投資額は200百万ドル〜350百万ドルと見られており、実現すれば、Cure-Fitはユニコーン企業への格上げとなる。Cult.Fit(フィットネス・チェーン)からスタートし、今ではEat.Fit(出前サービス)、Care.Fit(診断サービス)、Mind.Fit(ウエルネス部門)へとビジネスを拡大している彼らへの出資者としては国内のベンチャーキャピタル(Kalaari CapitalやChiratae Ventures)だけでなく、アメリカのベンチャーキャピタル(Accel Partners)も有名だ。ソフトバンクソフトバンクソフトバンク、他にいないのか!とお思いでしょう。います!

 

最近、何かと話題の多地域語分野で注目を集めているのが、アカツキのエンターテイメントxテクノロジー特化型ファンド(5000万ドル規模)だ。インドでスタートアップ投資を開始している。今までに10社に投資しているということだが、今月頭にメディアにリークされた内容によると新たに5社への投資を計画しているということだ。他のベンチャーキャピタルとの共同出資という形態で、これまでに投資した先にはDoubtnut(オンライン家庭教師)、Planet Superheroes(スーパーヒーローグッズの販売)、Mech Mocha(多地域語ソーシャルプラットフォーム、モバイルゲーム)がある。アカツキによると、インドでの主な投資対象はビデオ、モバイルゲーム、バーティカルメディア(分野特化型メディア)、生中継配信の分野で、特に複数の地域語を駆使する分野だという。なんかおもしろそー!日本のVCのみなさま、とにかくインドへ行きましょう。暑いけど。

 

ところで、この複数の地域語で展開する分野をバナキュラー(vernacular)セグメントと呼ぶのだが、外国VCがそう呼ぶのは良いとして、なんで国内のインド人自らまでもがそう呼ぶのか。自分たちの言語だ、"vernacular"ではない。普通に地域語(local languages)と呼んでほしい。と思うのは私だけだろうか。いやモディもきっとそう思うに違いない。

 

 

 


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