イギリスのTV党首討論会で健闘したコービン。それでも転機とならない理由。
19日夜に行われたイギリスのTV党首討論会、「どちらが勝ったと思うか」を問うYouGov世論調査では、ジョンソンが51%、コービンが49%となった。支持率では保守党が労働党を10ポイント以上引き離しているにも関わらず、その差は僅か2%。包括的なパフォーマンスで言えば、ジョンソンは負けている。なぜなら、分野をブレグジットに絞れば圧倒的にジョンソンが勝っているからだ(63%対27%)。離脱派の回答では87%対9%と当然の結果だが、残留派の回答でも39%対45%と危惧されたほど負けていない。今回の世論調査を勝手に解釈すれば、ジョンソンにはいろいろ不満もあるが、コービンにはブレグジットを任せられない、または彼には代替案がない、と判断されたということだ。
コービンが勝ったのはNHS(国民保健サービス)とその他の分野だ。それぞれ38%対54%、39%対46%となっているが、政府支出の分野でジョンソンに負けている(50%対35%)。「脱」民営化政策が不評のためであろう。コービンが教理的(dogmatic)と呼ばれる所以でもあろう。討論会の印象については過半数(58%)が「Frustrating(イライラした)」と回答している。つまり、両党首とも視聴者の期待には十分応えられなかったようだ。YouGovは他にも興味深い結果を発表している。各項目ごとに追っていこう。
Trustworthy(信頼できるか)
ジョンソン40% コービン45%
Likeable (好感が持てるか)
ジョンソン54% コービン37%
In touch (共感するか)
ジョンソン25% コービン59%
Prime Ministerial(首相として相応しいか)
ジョンソン54% コービン29%
恐れながら、また勝手に解釈すると「コービンの方に共感できるし、ジョンソンよりは信頼もおける。しかし、好きじゃないし、首相にはなって欲しくない」というものだ。同じ質問を各党員にし、その回答を公表すれば、労働党には致命傷となったであろう。コービンの党内人気は格段に低い。彼では党をまとめられない。いずれにしろ、不人気投票ではコービンに軍配が上がりそうだ。
保守党にとっては、躍進するブレグジット党が懸念の対象だった。しかし、そのブレグジット党は今月、来月の総選挙では保守党とは議席を争わない方針を発表した。保守党が議席を持つ地域に立候補者を立てないことで事実上の共闘態勢をとる。党首討論会でコービンがそこそこ健闘したからといって、労働党の大敗は避けられないと確信する。 そして、今度こそイギリスはEUを離脱する。あー長かった。