印度維新

インドの政治・経済・時事を語る井戸端ブログ

インド新予算案:5年以内に5兆ドル(約540兆円)経済へ

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インドの新予算案が発表された。その中で個人的に目に留まったのが、「今年度中に、Credit Guarantee Enhancement Corporation(目的は債券発行にあたっての信用保証)を設立する」というものだ。特に、社債市場のインフラ強化で債券市場の発展を目指す。RBI(インド準備銀行)とSEBI(インド証券取引委員会)と協働し、トライパーティ・レポ市場でAA格の社債を担保として受け入れる方針も発表した。

 

レポ取引(短期の債券売買取引。貸借取引ではない)とは、債券の買い戻し条件付き売却取引のことをいう。有価証券を利用した短期の資金調達手段だ。トライパーティ・レポでは仲介業者が間に入って、有価証券の管理や時価評価などの事務を行う。これまで担保として受け入れられていたのは、AAA格と、A+のCP(コマーシャル・ペーパー)およびCD(Certificate of Deposit:譲渡性預金)だけだった。AA格の社債が担保として認められれば、市場参加者(売り手企業)の手元流動性を高めることとなる。レポ市場には昨年、電子プラットフォームも導入されている。

 

政府の新予算案に対する今日の株式市場の反応は、Sell-the-Fact「(噂で買って)事実で売る」だったようだ。相場は上昇トレンドの中の高値圏に位置するが、織り込み済みでなかった好材料は新予算案の中にはなかった、という反応だ。むしろ、個人消費回復への対策が十分でないとの評価のようだ。期待されていたキャピタル・ゲイン課税や配当二重課税の廃止もなかった。上場株式の固定株主の持ち株比率を現行の75%から65%に引き下げ、浮動株を増やす、とする政策も嫌気されたらしい。中には、上場廃止を心配する向きもいるが、杞憂かな。65%でも十分に高いっしょ。それに、浮動株が増えることは投資家にとっても、株式市場にとっても悪いことばかりでもない。機関投資家の参入やコーポレイトガバナンスの改善にだって繋がる。

 

為替市場と国債市場は、財政緩めずの内容を好感したようだ。ルピーは買われ、長期金利は低下した。この分じゃ株式市場の押し目も深くあるまい(残念)。内需型からの脱皮を図るインド、直接投資にしろ、間接投資にしろ、外資の信頼を得て呼び込むことが大切♪。財政赤字圧縮のため、初のグローバル国債も発行する予定だとか。保険仲介事業で外資100%を認めることや、航空輸送、メディア業界への投資規定緩和などもFDI(外国直接投資)を更に加速させるだろう。政府目標を粛々と推し進めるには、まずまずの新予算案だったのでは。好感好感♪ シタラマンの言葉は一部邦訳で「数年後には5兆ドル(約540兆円)の経済になる」とされているが、「現政権中に」が正しいだろう。要するに5年以内には達成するということだ。政府の実質成長率のターゲットが8%、RBIインフレターゲットが4±2%だ。インフレには余裕がある(5月時点2.9%)、実質金利はまだ高い。実質成長率が7%台になったとしても、インフレを3%後半くらいに持っていければ達成できそうだ。もちろんルピーは安定していなくてはいけないけど。そして、その更なる2年後には、名目GDPでいよいよ日本を抜く。

 

 

 

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