印度維新

インドの政治・経済・時事を語る井戸端ブログ

外国機関投資家の熱視線は中国からインドへ

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外国機関投資家のインド株投資が増えている(今年1〜5月で純総額110億ドル)。過去4年間の年間投資額を上回るスピードだ。ベンチマークBSE Sensexも年初より12%急伸。政治の安定、改革気運の高まり、教育を受けている中流階級の台頭がその背景だろうが、若い人口も大きな魅力だ。以前にも書いたが、国連推計では2027年には中国を抜き、世界最大の人口となる見通しのインドは、生産年齢(16〜64歳)人口の比率も高い(2018年の推計では65%)。生産年齢人口がすでにピークを迎えた中国に比べ、インドの同人口の伸び率が減速する気配はない。生産年齢人口が総人口に占める比率も今後ますます高まる見通しだ(推計では2040年頃まで上昇、68%に)。

 

米中貿易戦争の狭間で漁夫の利を得ているという見方もできようが、ソブリン・ウェルス・ファンド(政府系ファンド)や年金ファンドはこれまでの投資対象である債券や上場株式を超えて、プライベート・エクイティ(PE)にまで触手を伸ばしているそうな。2018年に190億ドルを記録したPE案件の3分の2に資本参加しているということだ。直近の案件で言えば、シンガポールソブリン・ウェルス・ファンドGICとアラブ首長国連邦のADIA(Abu Dhabi Investment Authority)が再生可能エネルギープロジェクトを推進するGreenko Energy Holdingsに追加投資することで同意した(495百万ドル)。これで同社に対する投資額は総額15.5億ドルとなり、GICの持ち株比率は61%、ADIAの同比率は15%になる。特に、ノルウェー、中国に続き、世界第3位のソブリン・ウェルス・ファンドであるADIAはPEやインフラ投資、不動産投資にも投資対象を広げている。この4月には、インドの国家インフラ投資基金(NIIF:National Investment Infrastructure Fund)とともに、インドのコングロマリット、GVK Power & Infrastructueの空港部門の株式47%を取得することで同意した。インフラ投資には他のソブリン・ウェルス・ファンドの追随も囁かれている。GICとカナダ年金基金投資委員会(CPPIB:Canada Pension Plan Investment Board)はOakridgeインターナショナル・スクールのバイアウトに融資している(145.8百万ドル)。

 

諸改革が外国資本のインド投資を後押ししているのもある。外国ポートフォリオ規則(FPI:Foreign Portfolio Investor)が導入され、主に上場株式市場への参入規制が大幅に緩和されたのは2014年のことだが、FPIの運用が国内拠点のファンドマネジャーに認可されるようになったのはほんの今年のことだ。インドの若者がCFA(米国証券アナリスト)試験に殺到する訳だ。2016年に施行された破産倒産法で迅速な破産処理が可能になったことが、ADIAのインドの不良債権市場への資本投下(500百万ドル)に繋がったという見方もある。インドの地銀が抱える不良債権セカンダリー・マーケットを築く重要な一歩と見られている。

 

さて、日本の政府系ファンドさんのインド投資はいかに。まぁ遅れてるんだろうなぁ。シンガポールにできてなぜ日本にできぬ? 誰か教えて。まともな回答が聞きたい。

 

 

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