印度維新

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イギリス:ボリス・ジョンソン首相誕生へ、「合意なき離脱」のシナリオは本当になくなったのか

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予想通り、ボリス・ジョンソンが保守党党首に選ばれた。まあ、選ばれてしまったからには仕方がない。ロンドンからパリやフランクフルトやアムステルダムに移住したいとも思わない。彼の個人的利益とイギリスの国益が一致することを願うばかりだ。

 

周りにがパニックになっている様子はない。ポンド安にも救われて株は堅調、住宅価格も横ばいだ。業界の今年の住宅価格見通しは5%下落〜4%上昇と幅があるが、小幅上昇を予想する向きが多い。売り手が少ないからだ。イングランド銀行が「合意なき離脱"disorderly Brexit"」の場合は最悪30%、「大荒れの離脱"disruptive Brexit"」の場合は最悪14%の下落もあり得ると警告しているにもかかわらずだ。ちなみに、リーマンショック後の下落率は17%だった。

 

先週、英下院は「合意なき離脱」を阻止する法案を可決している。これで、議会の休会はなくなった。株もポンドもそれで反発することもなかった。元々、議会の休会まで織り込んでいなかったのであろう。さて、これで「合意なき離脱」は完全に阻止されたであろうか。可能性はまだ残っている。それは、ジョンソンが労働党党首コービン(離脱派)と手を組むことだ。コービンとメイボット(失礼)の人間関係ではあり得なかったことだろうが、人たらしジョンソンとならあり得る。そこでだ、どうやってコービンを説得するかだが、一つだけ方法がある。それはコービンが憎悪し、保守党がこの10年(時に国民を騙しながら)続けてきた”austerity politics(緊縮財政政策)"をやめることだ。EU離脱という国の一大事に、財政出動で中小企業、ワーキングプア貧困層を支援するという大義名分がある。イギリスの財政赤字リーマンショック後のピークに対GDP比で約10%だったのが、IMFの今年4月時点での推計では、今年1.35%まで縮小する。ジョンソンとコービン、あり得ないことではない。

 

「10月31日までにEUを離脱する」のがボリス・ジョンソンが選ばれた理由だ。離脱しなければ、保守党へのダメージも少なからずあろう。既に一部支持者はブレグジット党に移っている。これが保守党に与える最後のチャンスと見守っている支持層が少なからずいる。保守党が一枚岩となって主権を守り抜く重要性は、常識ある一般イギリス国民は気づいているだろう。欧州移民が多いロンドンでは大きな声では言えないだけだ。

 

「合意なき離脱」に備えての食飲料品の買いだめはまだしていないのだが、どうしたものか。イギリスのスーパーが輸入する食飲料品の8割弱がEUからだ。合意なき離脱となると、これら輸入品の円滑な輸送が滞るという訳だ。ポンド暴落で物価高騰のリスクもある。冷凍野菜に冷凍フルーツ、缶詰の肉や魚にバターやチーズ、鯖缶以外はどれも買う気がしない。医薬品も約4分の3をEUから輸入している。常備薬くらいは場所取らないし、多少買っておくか。離脱のタイミングは二回も延期されたんだから、備えたい人は既に備え終えているに違いないが。

 

 

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