印度維新

インドの政治・経済・時事を語る井戸端ブログ

印米防衛協力強化の立役者、米議会のインドコーカス

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米上院のインドコーカスは2004年、共和党議員ジョン・コリンと、時の民主党議員ヒラリー・クリントンによって設置された。コーカス(caucus)の語源はアメリ先住民族の「相談相手」を意味する"Cau-Cau-a-Su"で、非公式会議、または幹部会のことをいう。上院議員30人超からなるインドコーカスは上院最大の超党派コーカスで、両院合わせるとそのメンバーは200人超だ。ちなみに、日米の関係強化を狙う米日コーカスは両院合わせて100人を超える超党派コーカスである。

 

さて、米印関係の強化を目的とするインドコーカスが、過去2年間、特に努めてきたのはインド太平洋地域の安全保障上の連携強化だ。昨年成立、試行された米国国防権限法(NDAA:National Defense Authorization Act)の本項に「インドとの関係強化の義務付け」とある。その中で、「中国への対抗のため、インドを主要な防衛パートナー国(”Major Defense Parter")とする」とあり、その関係強化のための戦略策定と、インド太平洋戦略の5カ年計画の策定を義務付けている。そして、今回、武器輸出管理法が改正される見通しだ。改正案はインドコーカスの副議長2名(民主党上院議員マーク・ワーナーと共和党上院議員ジョン・コリン)によって上程され、米国国防権限法2020に盛り込まれる見込。改正されれば、米国製の武器関連品目・技術の取引を規制するITAR(国際武器取引規則)の適用品目の売却において、インドはNATO同盟国、イスラエル、日本、韓国、オーストラリア、ニュージーランドと同等の扱いとなる。印米間では既にCOMCASA(通信互換性保護協定:Communications, Compatibility and Security Agreement)が調印され、BECA(地理空間情報の基礎的交換に関する協定 : Basic Exchange Cooperation Agreement)も大詰めに入っている。

 

レイセオンボーイングロッキードマーチンなどの軍需産業のインド市場での躍進とその関連インド企業の米国市場進出が期待される」とは、インドコーカスの、とある下院議員の発言だ。ふ〜む。今のところ、これら企業のインド拠点は主に部品製造とR&D(特に非先端部門のプログラミングとコーディング)ですからねぇ。ロシアに比べると、”Make in India”にはまださほど貢献していない米軍需産業。売り手買い手の関係から早々に技術移転の関係へと脱皮してくれることを期待しますよ。米国軍需産業にとって、インドは今後一番の安定的な大口顧客になるに違いない。欧州やサウジアラビアが米国にとって、今後のインドほど「安定的な」大口顧客だろうか。インドが、地政学上、政治経済上の大国となっていく中、ロシア、イスラエル、フランスがそうであったように、米国(トランプ)が好むと好まらざるとに関わらず、印米の共同技術開発への活路は開かれるに違いないが。

 

 

 

 

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