印度維新

インドの政治・経済・時事を語る井戸端ブログ

インドの本気:非公式経済からの脱却

f:id:MAP2019:20190617231636j:plain

インドを非公式経済から公式経済へと移行させようとするモディ政権の断固とした姿勢(脱税や地下経済一掃のため高額紙幣を即日廃止)は以前にも書いたが、先週金曜にCBDT(Central Board of Direct Taxes: 直接税中央委員会)が発表した内容もそれに合致する。悪質な脱税者への取り締まり強化だ。対象となるのは、国外銀行口座や国外財産の無申告者や、名義預金者・送金者(他人名義で財産を所有したり、売買する者)、マネーロンダー(資金洗浄に関与する者)などだ。今までのように、ただペナルティーを支払えば良いというものではなくなる。6月17日より施行。

map2019.hatenablog.com

 2015年に施行されたブラックマネー法(The Anti-Black Money Act)を始めとして、モディ政権では様々なブラックマネー対策を講じてきた。特に、2016年11月の前触れなしの高額紙幣即日廃止は、リスクを顧みない政権の断固とした姿勢を、その本気度を、内外に知らしめた(ま、確かに社会的にも経済的にも資本市場的にも大きな混乱が生じましたよw  おかげさまで、わが家も煽りを受けさせていただきました)。その翌月には改正課税法案を施行、高額紙幣廃止後の非開示所得に関する申告制度を整備し、2017年には30万ルピーを超える現金取引を禁止し、違反者への罰則規定を導入、さらに事業活動の実態がないペーパーカンパニー(約20万社)には解散命令、2018年には規則違反、休眠会社(約12万社)の登録を抹消と、容赦ない。

 

2015年のブラックマネー法では、起訴猶予を許す限定的な窓口があった(無申告の国外所得、国外財産に対する重加算税率30%とともに、税額の3倍までの罰金を支払えば、不起訴処分になるというもの)。今回強化されたガイドラインでは、原則的に起訴猶予はなくなり、他人の脱税を補助した場合や架空の売買取引書を発行した場合などにも適用される(CBDTの査定をもとに、情状酌量が認めらると判断された場合に限り、財務大臣の権限で起訴猶予とできる可能性を残した)。その結果、今後しばらくは起訴件数の急伸が見込まれている。一方、源泉徴収税の未払い等に課せらる延滞税の方は、税務署に指摘される前に自己申告した場合、現在の税率3%から2%に軽減されるということだ。襟を正すインド。「汚職はびこるインド社会」のイメージが少しずつ壊れていく。この調子で日本人のインドに対するイメージも変えていきまっしょい!

ブログランキング・にほんブログ村へ