印度維新

インドの政治・経済・時事を語る井戸端ブログ

インド債券ファンド:株式配分ゼロで勝ってます

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インドNPS(National Pension Scheme国民年金制度)の債券ファンドが絶好調だ。ベストパフォーマーは、LIC年金基金(生命保険法人、Life Insurance Corporationの年金基金)の国債ファンドでこの一年で20%のリターンとなっている。昨年まで2年間のリターンが、国債ファンドで2%未満、社債ファンドでも4%未満だったことからすると、随分風向きが変わった。この一年のNPSの国債ファンドの平均リターンは10台後半だ。社債ファンドの方は同平均12.5%のリターンとなっている。

 

株式市場は昨年10月下旬の底値から順調に回復し、今年に入って最高値を更新したが、過去一年のパフォーマンスで言えば、株の配分率ゼロの国債社債特化型ファンドのリターンの方が上回る。S&PのBBBマイナスの格付を持つインド国債の10年債金利は5月半ば頃から急降下し、7%を切った(本日6.88%)。この半年で、50bp超の低下。一方、2年債の方は同期30bp超の低下(本日6.29%)。イールドカーブは平坦化(Flat化)している。インドの実質金利が高いことは以前にも書いたが、イールドカーブにも反映されていると言えよう。10年セクターまでは順イールドとなっているが、超長期セクターは15年利回りー30年利回りがほぼフラットな状態(7.07−7.11%)。インフレが抑制されていることを市場は織り込んでいるようだ。

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 さて、RBI(インド準備銀行)は過去10年あまり、国債市場の流動性向上のため、その投資家層拡大に努めてきた。その結果、銀行の保有高が減少する一方、保険会社や一般企業の保有高が上昇した。一方、モディ政権の規制緩和を追い風に、外国人投資家のポートフォリオ投資(FPI)も順調だ。6月も買い越している(純額10,384クロー、約15億ドル相当)。内、8割弱が債券市場に流れたそうな。連続5ヶ月の買い越しだ。これでも今年上半期の月間平均値と比べると7割ぐらいの水準で、7月5日発表の新年度予算を前に様子見の投資家もいることが窺える。

 

発行市場の方はどうか。ノンバンクの債務不履行不良債権処理問題から始まった信用収縮で、国内ルピー建て社債の発行が大きく減速しているようだ。銀行から借りる方が安いってか。が、その一方で、優良銘柄のドル建て社債の発行が急伸している。国内ルピー建よりスプレッドが狭い(利回りが低い)のであろう。それでも優良銘柄はベビュー債でも売行き好調とか。外国人投資家の購買意欲はドル建て債に限らず、ドメ債やマサラ債(海外市場発行のルピー建債)にもあるようだ。私も買いたい。私もどれでも良いかな。分散投資の一通貨としてのルピーって感覚がないとできないけど。破産倒産法も整備されたことだしね。景気減速でプライマリー市場がサプライ減となるなら、セカンダリー市場のスプレッド縮小ってシナリオも書けそうだ。

 

 

 

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