印度維新

インドの政治・経済・時事を語る井戸端ブログ

インドの最高学府といえば

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非居住者の、それもごく一般的な外国人が思い浮かべることができる世界の超一流大学の数はさほど多くはない。世界広しと言えど、固有名詞が浮かぶ大学が存在する国の数もそう多くない。イギリスのオックスブリッジ、アメリカのハーバード、MIT、スタンフォードとその他一部のアイビーリーグなど。果たして、日本の東大や京大は非居住者の一般外国人にピンくるだろうか?インドで言えば、日本人が思い浮かべるのはIIT(Indian Institute of Technology:インド工科大学)くらいだ。え?IIM(Indian Institue of Management:インド経営大学院)も知ってるってか?いずれにしよ、インド政府の問題意識は高かったようだ。

 

リライアンス・インダストリーズというインド最大のコングロマリットがある。ムンバイに本社を置き、石油・ガス開発、小売、インフラ、バイオテクノロジーなどの事業を幅広く手がける。そこに、大学の設立、経営が加わる。名付けて、Jio Institute。この度、1500クロー(約218百万ドル)を投じ、2年以内にワールドクラスの教育機関の設立を確約することを改めて政府の諮問委員会であるEEC(Empowered Expert Committee)に報告した。EECは、昨年、UGC(Universisty Grants Commission:大学補助金委員会)によって、高等教育機関の認証評価、特に、IOE(Institutions of Eminence)と呼ばれる最高学府を20校認定するためのエキスパート専門委員会として設置された。その後、EECはその数を30にすることを提言した。

 

Jio Instituteは設立前だというのに、IOEステータスを早々と授与された6教育機関の内の一つだ。公立ではインド 工科大学のベンガルール、ボンベイ、デリー校の3大学と、私立ではBirla Institute of Technology and Sciences、Manipal Academiy Higher EducationとJio Instituteだ。昨年末にEECが公表した新たな推奨校19校を入れると、IOEステータスを持つ教育機関の数は合計30校となる見込みだ。

 

さて、国内メディアによると、Jio Instituteのメインキャンパスはナビ・ムンバイ(ムンバイの衛星都市でムンバイ湾対岸に位置する)に設置されるとのことだが、その設備の構築や運営にあたっては、アメリカのスタンフォードやノースウエスタン大学、MIT、およびシンガポール南洋理工大学(Nanyang Technological University)と協議を進めているようだ。東大は呼んでもらえなかったのかしら。今年の世界大学ランキングでは南洋理工大学よりは上位だったはずなんだけど(寂)。学部やカリキュラムの設置、教授陣の採用は今年9月から来年10月までの間に終え、2021−22年度に開校予定とのこと。リサーチセンターや交換教授、交換留学生、インターンシップ・プログラムを通じて、世界各国の最高学府との共同研究も促進する。特に博士課程を修了した研究者や学者を惹きつけるプログラムを構築中とか。

 

東京大学にはインド事務所なるものがあり、日本留学海外拠点連携推進事業と謳われている。そのスコープ狭すぎやしませんか? それとも私が知らないだけ?インドの最高学府とは一体どれだけ日本の最高学府は関わっているのだろう?この際、最高学府じゃなくてもよい。学習塾だって、専門学校だってよい。Kumonに続け!日本にはフランチャイズできるノウハウが蓄積されている。長らく放置されていた教育分野でインドのジェフ・ベゾスリアライアンスのムケシュ・アンバニ)が動いている。インドは日本や日本人、日本の教育機関の質の高さをリスペクトする人々で溢れている。台頭する中流階級の教育ニーズは全く満たされていない。日本企業とのジョイント・ベンチャーは諸手を挙げて歓迎されるだろう。

 

 

 

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