印度維新

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続報2:ジョンソンの仕掛ける罠?

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若かりし頃のドミニク・カミングズ

国内メディアによると、ジョンソンのヘッドアドバイザー、ドミニク・カミングズは10月7日の週までに補正予算を準備するよう側近の補佐官に指示を出したということだ。「合意なき離脱」に対応するための補正予算で、バラマキ予算になる可能性大だ。個人的には、その狙いは(1)「合意なき離脱」に本気だということを内外に知らしめるため、(2)長年の緊縮財政からの方向転換を示し超党派の支持を得ること、だと考えた。しかし、もう一つあったようだ。そして、そのもう一つがジョンソンが真に狙っていることなのかもしれない。以前にも書いたように、議会を休会させることは超党派議員によって阻まれた。

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 しかし、もう一つ手があった。議会の解散だ。10月上旬に出ると思しき補正予算超党派の残留派の結託により否決される可能性がある。それがジョンソンの罠かもしれないということだ。解散、総選挙となれば、当然10月31日を跨ぐこととなる。「合意なき離脱」は結果的に起こってしまうことになる。ジョンソン首相の誕生で保守党の支持率は急伸し、労働党に対して10ポイント以上リードしている。早期解散総選挙に打って出たいところだが、自ら総選挙を公示するのは(離脱できると豪語している手前)「弱さ」の証と見なされる。そこで、「総選挙をせざるを得ない状況」に持っていくことがジョンソンの狙いだということだ。

 

ジョンソン首相の誕生で保守党の支持率が急伸したことで、分かったことがある。国民が望んでいるのは「不確定要因の除去」だということ。詰まるところ、「もうどっちでもいい、どっちかに早く決めてくれ」ということか。企業も、投資家も、国民も必要な決断ができないでいる状況がもう2年以上も続いているからだ。労働党の支持率が伸び悩むのは、労働党がその不確定要因を除去してくれると有権者に思われていないからであろう。

 

ドミニク・カミングズ(47)はジョンソンの特別顧問、右腕だ。見た目はまるでハリーポッターの悪役のよう(失礼)だが、キレ者として有名な政治ストラテジストだ。オックスフォードのエクセター・カレッジで古代史と現代史を学んだ。2015年から”Vote Leave(離脱に投票せよ)”キャンペーンのダイレクターで、”Take back control(主権を取り戻せ)”のスローガンを作ったのも彼だ。レファレンダムでの離脱派勝利の黒幕の一人と呼ばれている。

 

ジョンソン政権にとって、10月上旬に出てくると思しき補正予算は可決されるもよし、否決されるもよしだが、保守党の命運をかけて、国民に離脱を届けなければならないジョンソンにとっては、否決される方が「渡りに船」となるのか。

 

 

 

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