印度維新

インドの政治・経済・時事を語る井戸端ブログ

インド株式市場:新付加税導入で外国ポートフォリオ投資家(FPIs)の利食いが続く

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7月5日の新政府予算案に盛り込まれた富裕層への新付加税は、(政府にとっては多分、不本意ながら)外国ポートフォリオ投資家(FPIs)もその課税対象となった。非居住者のポートフォリオ投資は非法人形態の投資家だ。多くは「信託」の形態をとるため、インドの税法では個人扱いとなってしまう。昨年度までの税制では所得が1クロー(約$143,000)以上の富裕層には最高税率30%の付加税として15%が課税されていたが、新政府予算案では所得が2〜5クロー(約$286,000ー$715、000)の富裕層の付加税が25%に、同5クロー以上の富裕層の付加税が37%に引き上げられることになった。つまり、各カテゴリーの富裕層が支払う所得税の実効税率はそれぞれ39%と42.74%となる。FPIsも同様に課税される(今年4月に遡及適用)。この新付加税で見込まれる税収は12,000クロー(約17億米ドル)、その内、FPIsから見込まれるのは400クロー(約5700万米ドル)と、3%程度に過ぎない。この実効税率も他国と比べて(シンガポールを除き)それほど高いとも思えないが。。。

 

インド株式市場は、新付加税を受け反落、Sensex、Niftyともに今年6月頭につけた最高値から6−7%下落している。今年上半期に110億米ドル超相当を買い越したFPIsはこの7月はこれまでのところ、12億米ドル相当の売越しとなっている。しかし、それらは本国への資本回帰には繋がっていないようだ。ルピーも今のところ堅調だ。今月中旬までの数字では、株式市場で売越した金額の1.7倍くらいの投資資金が債券市場へと流れており、証券市場全体では買い越しとなっていることにも安堵する。押し目買い、ナンピン買い狙いか。でも、心臓には悪い。わが家もインド株ポートフォリオを前にドキドキだ。インドに中長期的ブルなのは変わりがないが、SensexもNiftyも2018年安値からの上昇トレンドチャネルは下に抜けたように見えるからだ(抜けてますか?やっぱり)。

 

 シタラマンは優秀だし、何だかクールだし、前職の防衛相としても何ら不満はなかった(過去記事参照↓)。個人的には彼女のTwitterのフォロワーでもある。でも、悲しいかな、彼女はアルン・ジェートリーではないし、ジェートリー入院中に暫定財相として手腕を発揮したピユシュ・ゴヤルを新政権では財相と任命しなかったことで、モディが財相を兼務するつもりかと思ったくらいだ。富裕層への増税には大賛成だが、新付加税の課税対象からFPIsを外さなかったことは、政府のエラーだろう。詰めが甘かった。インド税制のためだけに、グローバルファンドの形態を変えることなどあり得ない。各国のルールや規制に則り、そのような形態になってるんだから。新政府予算案に駆け込みで盛り込むために焦ったのであろう。今更引っ込める訳にもいかず、といったところか。落としどころはどこか。この騒ぎの中、すぐには見出せないであろう。インド国税局がFPIsと対話懇談の場を持つなんて話もあるようだが、面目を保つ以外の目的はなさそうだ。思うに、騒ぎが収まったところで、静かに人知れず対応措置が追記されるのではないだろうか。官僚のやり口で、要注目だ。
map2019.hatenablog.com

 

 

 

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