印度維新

インドの政治・経済・時事を語る井戸端ブログ

ガラスの天井を高速で打ち破る財務相、ニルマラ・シタラマンってどんな人?

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昨年12月、世界経済フォーラム(WEF)が発表した2018年版のジェンダーギャップレポートによると、インドの順位は149カ国中の108位。低い。ま先進国の中ではダントツに低い日本の110位よりは高いんだけどねw それはさておき、インドでも男尊女卑が今だに根強い。特に貧困層や農村部で強いのだが、都市部であっても、またヒンドゥー教徒でなくても、今だに婚姻の際、新婦側家族が新郎側に持参金を用意するような風習が残っている。若者の意識は少しずつ変わってきているものの、結婚適齢期の子供を持つ親の世代では今だに持参金の額は頭が痛い問題だったり、逆に家の格を誇示する手段だったりする。WEFは経済、教育、健康、政治の4つの分野で調査しているが、20位以内に入る分野が一つもない日本と違って(マジで?)、インドがかろうじて19位に入っている分野がある。それが政治の分野だ(昨年版では15位)。少なくとも政治分野での男女格差はそれほどないってことだ。

 

そんなインドでガラスの天井を打ち破った女性閣僚がいる。ニルマラ・シタラマ財務相(59歳)だ。ちなみに、ガラスの天井とは、「資質又は成果にかかわらずマイノリティ及び女性の組織内での昇進を妨げる見えないが打ち破れない障壁のメタファー」である。シタラマンは、そのガラスの天井をいとも簡単そうに、それもかなり高速で打ち破ってきている。一体どんな人物なのか?BJPに入党したのはほんの2006年。2010年にはBJPスポークスパーソンとなり、モディ第一次政権では財務省、商工省の閣外大臣を歴任し、2017年にはついに防相に就任、トントン拍子を体現している。インドでは、国防相と財相という二つの重要閣僚ポストを経験した女性は今までに二人しかいない。インディラ・ガンディーとシタラマンだ。しかし、ガンディーは女性というよりは(失礼!)、ネルー・ガンディー王朝に帰属している。しかも、首相だった時に国防相も財相も兼任している。なんとまぁ権力がお好きだったこと。シタラマンはフルタイム国防相だったし、今回はフルタイム財務相だ。

 

JNU(ジャワハルラール・ネルー大学 )で経済学と国際関係学の修士課程を修了。趣味は旅行、トレッキング、音楽鑑賞、料理ということだ。夫のLSE留学に伴い滞在したロンドンではPwCプライスウォーターハウスクーパース)やBBCに勤務した。一女の母。少女の頃から勤勉で、読書好き、学内外で絵に描いたような優等生、大学時代は弁が立つことでも知られていたようだ。卒業生として訪れる女子大のキャンパスでは、「政治だって同じよ。不可侵な領域じゃないのよ。入っていって綺麗に片付けるのよ」と学生に呼びかける。なんかいいなぁ〜。こんな先輩欲しかったな〜っと、日本の女子学生の声が聞こえてきそうである。自分でなれよ!ってか(笑)

 

タラマンの印象は、政治家としては党やモディへの忠誠心厚く、賢く緻密な勉強家。シタラマンを知る産業界の人物評は質実剛健で迷いがない一方、謙虚であるというものだ。国防相なのに時間に遅れずイベントにも参加したと(笑) 敵は作らず、ある程度の自己犠牲を厭わず、真摯に任務を全うする。さて、彼女に足りないものとはなんだろう。公約を果たすためには、かなりのスピードで変革を推し進めなくてはいけないインドで、少し足りないと感じるのはズバリ、押しの強さだ。官僚をブン殴ってでも、スピード感を持って推し進めるだろうと思わせる資質が感じられない。モディやシャー、ガドカリーやゴヤル(そして、おそらくジャイシャンカル)のようなパワーが感じられないのが惜しい。しかし、副操縦士としてはこんなに優秀な人はいるだろうか。忠誠心と賢明さと勤勉さとを兼ね備えている。え、財務省の操縦士は誰かって?そりゃモディでしょ? 以上、私見でした。

 

 

 

 

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