印度維新

インドの政治・経済・時事を語る井戸端ブログ

インド中銀の利下げ、なぜいつも25bp?

 

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インド準備銀行(中銀)ダス総裁

先週木曜、大方の予想通り、インド中銀(Reserve Bank of India:インド準備銀行)が今年3回目の利下げをした。これで、政策金利は5.75%となった。インドのCPI(消費者物価指数)は先月4月時点で2.92%、インド中銀の中期インフレターゲットである4%を9ヶ月連続で下回っている。今月発表の1−3月期の実質GDP伸び率(5.8%)は5年ぶりの低さで、前四半期対比で連続4四半期も下落している。2018年度のGDP伸び率(6.8%)も5年ぶりに7%を下回った。ダス総裁も会合後、「経済成長の勢いは著しく弱まっている」と指摘している。では、なぜ、25bpなの?0.25%ずつしか利下げしないの?コンサバ過ぎるんですけど。国内メディアは政府の景気舵取りを非難する記事一色だ。

 

思うに、今回の総選挙でBJPがここまで圧勝するとは誰も予想していなかった。メディアも産業界も外人投資家も(わが家も)ここまでの圧勝は予想していなかった。そのため、選挙直前の今年3月までの2四半期は政治的不確定要因が民間設備投資や家計消費に影響を与えたところが大きかったのではないかと思われる。わが家では今四半期、または来四半期以降のインドの景気を楽観的に見ている。ただ、ダス総裁にはモタモタしないで、利下げ後も貸出金利を下げていない銀行をどうにかして欲しい。それら銀行には国有銀行も含まれるんだから。そして、25bpしか下げられない理由を教えていただきたい。インフレ圧力なく、BJP圧勝後の改革ムードの中、米中貿易戦争の余波で原油価格も下向き(インドは石油の純輸入国)、FED(米中銀)さえ緩和モードだ。今50bpやらなくて、いつやる!? ルピーが急落するとでも? 米中貿易戦争激化の懸念でアジア株から外資撤退ってか?台湾株、韓国株からの撤退は当然として、確かに他アジア諸国でも撤退の動きはあるし、少なくとも外人投資は増えてはいない、いいとこ横ばいだ。でも、外資のインド株投資はまだ増えてます。裏を返せば、インド経済の対外開放度がまだまだ低いってことなのでしょう。

 

米中貿易戦争は、「対岸の火事」というより、「漁夫の利」または「渡りに船」くらいのチャンスでしょ?モディが声高に"Make in India"(メイク・イン・インディア)と叫んでるくらいだから、インドはまだまだ内需主導型経済なのだ。幸か不幸か、巻き込まれようにも、巻き込まれそうな外需型(高付加価値で国際競争力のある)製造業が育っていないのだ。外需型といえば、医薬品と自動車(+部品)くらいなのだ。安価な中国製品が襲来して、今度は印中で報復合戦とか?想像しにくいんですけど。インドが規制したところで(すでにしてるけど)、中国はどうやって報復するの?今の状態で報復合戦となったら、中国が負けるに決まっている。それも高速で負ける。むしろ、彼らはインドに生産拠点を移すでしょ。中長期的にそれが対中貿易赤字の拡大に繋がれば、ルピーの不安定要因となる。そうならないためには、中間財の国内調達率も上げていかないといけないのだが、モディ政権は'Made in India"(メイド・イン・インディア)の中身も注視している。スマホ組み立てるだけじゃなくて、その部品もインドで作ってね、というのが”Make in India"(メイク・イン・インディア)だ。だから、今月に限っていえば、リスクは小さかったはずだ。やっぱり50bpできたと思うのだ。中国撤退企業のみなさま、安定した民主主義の国、インドへおこしやす〜。でも中間財も作ってね。

 

 

 

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