印度維新

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ボリス・ジョンソンが差し出した”オリーブの枝”

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”オリーブの枝”とは和解の象徴だが、今回ボリス・ジョンソンが一部の造反議員宛てに差し出した「異議申し立ての手続きを踏むよう促した手紙」がそれに当たるとして、物議を醸している。保守党から除名された21名の中には、ケン・クラーク元財相やニコラス・ソームズ(チャーチルの孫)といった重鎮も含まれていたことから、党内の動揺は大きかった。マイケル・ファロン元国務相は、「合意なき離脱」反対派を「残留派」の方に押しやってはならないとして、早々に異議申し立ての手続きを提供すべきと表明していた。

 

国内メディアによると、サジド・ジャビド財相、マイケル・ゴーブ(ランカスター公領相)、マシュー・ハンコック(保険相)などからジョンソン首相への進言があったということだ。ジェイコブ・リーズ=モッグ下院議長、ロバート・バックランド法務長官も一部の除名議員の復党を後押ししており、造反議員の中でも特に、スティーブ・ブライン(公的医療担当の前政務次官)、アン・ミルトン(前技能・実習相)、リチャード・ベンヨン(環境・漁業担当の前政務次官)、ステファン・ハモンド(前保険相)らの復党を模索しているとのことだ。

 

しかし、この”オリーブの枝”に憤りを隠せない保守党支持者も少なからずいる。今回、ジョンソン首相が「合意なき離脱」を阻止する法案に賛成票を投じた一部の造反議員に和解の手を差し伸べたことで、早々に保守党支持を撤回し、ブレグジット党支持に回ることを表明している人々がいる。「合意の有無に拘る」造反議員は本当のところは「残留派」であるとの見方も強い。選択するのは「造反議員」か「国民」か、と息巻く支持者の中には、ジョンソンを22人目の造反者に数える者も現れた。実際、造反議員の復党が許されれば、ブレグジット党の支持率は続伸、もしくは急伸する可能性がある。

 

今のところ、総選挙でのブレグジット党との連携は必要ないとしている保守党だが、雲行きが怪しくなってきた。ジョンソン首相はメイ前首相の弱さと優柔不断を繰り返してしまうのだろうか。「異議申立ての手続き」はあくまで法治国家としての手続きであり、復党有りきではない、との明確なメッセージが待たれる。しかしながら、造反議員の中には、まさか除名されるとは思っておらず、後悔している人もいるであろうし、「合意なき離脱」に関する主義主張を変えても、保守党に戻りたいと懇願する人もいるであろう。それならそれで良いと、個人的には思う。何を隠そうサジド・ジャビド財相もかつては残留派であった。その頃から「隠れ離脱派」との疑惑は持たれていたものの、その時々の彼の戦略的選択であったとも言えよう。彼の場合は、それが奏効した。

 

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