印度維新

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10月31日の離脱から一歩も引かないジョンソン政権、世論調査で支持率上昇

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この週末、二つの世論調査が発表された。Opiniumが、保守党35%(前月同期比+3)、労働党25%(同−3)、自由民主党17%(同横ばい)、ブレグジット党13%(同+1)。YouGovが、保守党35%(横ばい)、労働党21%(−4)、自由民主党19%(+3)、ブレグジット党12%(+1)という結果となった。いずれも、ボリス・ジョンソンが三つの重要な議会投票でことごとく敗北し、離脱延期のため超党派議員たちが提出した法案に党方針に反し賛成した21人の保守党議員を除名した後に行われた調査だ。

 

有権者の支持を得、掴んで離さないのは保守党であり、一方の労働党の支持率が下落していることは明らかだ。どうやらジョンソン側が議会で敗北すればするほど民心を得るサイクルとなっているようだ。逆に、離脱延期派からは勝利するほどに民心が離れていく。彼らには国民投票の結果を覆すもくろみがある、と国民が疑っているからだ。離脱延期法案の提出前にEUと交渉したと疑われている一部の残留派議員に関しては国賊との呼び名も出始めている。EUが延期に同意すれば、それは「EU内政干渉」と目され、国民の怒りは頂点に達するであろうし、EU離脱はますます正当化されることとなろう。EUがイギリスを失いたくなくて踠いている様子がイギリス国民の前に可視化されている。

 

世論調査の結果から分かることは、労働党が現時点で総選挙に同意することはないということ。総選挙を拒否することで、民主主義の冒涜者としての汚名を着せられてもだ。一方、ボリス・ジョンソンは10月31日の離脱から一歩も後に引かない姿勢を見せている。「離脱を延期するくらいなら死んだ方がまし」とも答えているくらいだ。可決された離脱法案は、ジョンション首相が10月19日までに離脱協定の議会承認を得られない場合は、下院から合意なき離脱の承認を得なければならないと定めている。

 

この週末のテレビで、ジャビド財相がアンドリュー・マー(政治評論家)のインタビューに答えた。マーは視聴者が聞きたいことは大方聞いてくれたように思う。ジャビド財相の主な答えはこうだ。「法律は厳守する」が、「10月31日に離脱する」そして、「ジョンソン首相の辞任もない」と。「法律を厳守しつつ、10月31日に離脱する」ことが、どうしたら矛盾しないのか分からない、とマーはイライラしながら言い放った。視聴者も同じ疑問を持ったことだろう。「何か隠していることがあれば今言ってくれ」とはマーの発言だが、視聴者も同じ思いであったろう。そして、総選挙となった場合にブレグジット党との連携はあるか、との問いには、ジャビド財相は「保守党はどの野党とも連携する必要はない」と答えている。また、2回目の国民投票はあるか、との問いには「絶対ない」と答えている。10月19日を節目の日と見ていることはジャビド財相の言葉の節々に感じられたが、何か隠し球を持っているとしか思えないような、自信に溢れたインタビューではあった。ないとしたら、とんだポーカー・プレーヤーだ。しかし、一つ言えることは、総選挙を拒否されるジョンソン政権にとって、時間はむしろ味方だということだ。残留派、延期派によって離脱が阻まれれば阻まれるほど、国民の離脱支持は高まっていくからだ。

 

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