印度維新

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(続報3)中所得層が台頭するインドは個人消費が牽引する内需型経済、漁夫の利相場になれるか

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市場の思惑通り、富裕層を対象とした新付加税の課税対象からFPIs(外国ポートフォリオ投資家)と国内投資家が除外された。シタラマン財相が先週金曜、市場が引けてから公表。7月頭に発表された新政府予算案に盛り込まれた新付加税の課税対象に、FPIが含まれてしまったことは不本意であり、テクニカルな問題を見落とした財務省側のエラーだったことは彼女自身が早々と認めていた。市場も是正措置を待ち構えていたが、2ヶ月足らずかかった。この期間を短いと見るか長いと見るかは立場によって異なるだろう。しかし、政府のエラーが7月初旬、まだ最高値圏にあった株式市場に格好の利食いの口実を与えてしまったことは確かだ。米中貿易戦争の激化に伴い、世界経済に暗雲が立ち込める中、悪化したセンチメントをこの是正措置で好転させることができるのか。

 

そこで、シタラマンは今回、その他諸々の景気刺激策をパッケージ化して発表。FPIsを課税対象から外す措置以外で、市場関係者に特に好感されたのは、政府金融機関のバランスシートの改善強化措置の前倒しやノンバンク(NBFCs)及び住宅金融(HFCs)への追加的な流動性供給、中小零細企業への消費税(GST)還付の迅速化、スタートアップス投資家への優遇税制などだ。

 

政府が業界や市場関係者に耳を傾け、2ヶ月足らずという期間内に景気刺激策をまとめ、公表したことは驚きと見られている。そこは同意するものの、現水準で株式市場に再参入したいと思うかは別の話。当初、株式市場から逃げたFPIの資金は債券市場に流れたことが確認されたが、8月以降はルピー相場の動向からして国外へのリパトリ(本国還流)も伺える。先週金曜は今年初めて対ドルで72ルピーまで売られた。対中国人民元では概ね横ばいだ。リパトリ相場の中では理不尽にも中国人民元との連動相場となり、更にルピーが売られる可能性もある。

 

しかし、インドは内需型経済なんですよね、まだまだ。"Make in India"プロジェクトで内外需のバランス化を図るモディ政権だが、それはまだ達成されていない。一方、ミレニアル世代までの中所得層が台頭してきており消費拡大の基盤ができている。世界経済の減速で石油や商品価格が下落すれば、それはインドにとっては好材料。だから、インド株に長期ブルなのには変わりない。国債市場も直近一ヶ月はブルスティープ化してるし(短期金利長期金利より低下)。ただ、インド株市場のクライマックス感のない押し目に再参入を躊躇う。週明け、シタラマンのパッケージは株式市場に好感されるであろう。ただ、それが持続するかどうか、ひとまず様子見ですかね。

 

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