印度維新

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アフガニスタンからパキスタンへ「カシミール問題にアフガニスタンを結びつけるな」

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米政府は7日、インドとパキスタンに自制を求め、両国が直接対話し、問題を解決することを支持するとの声明を出した。アメリカのカシミール政策に変更はあるかとの問いかけに、国務省のスポークスマンは「No」と答え、カシミール問題は印パ二国間の問題であるという従来の立場を確認した。

 

一方、アフガニスタンタリバン勢力のスポークスマンも同時期に声明を出した。要約すると「カシミール問題をアフガニスタンに結びつけることは危機の解決にならない。カシミールの問題はアフガニスタンの問題には関係ない。他国間のかけひきの舞台になるのは御免蒙る」ということだ。(英文:"Linking the issue of Kashmir with that of Afghanistan by some parties will not aid in improving the crisis at hand because the issue of Afghanistan is not related nor should Afghanistan be turned into the theatre of competition between other countries,"

 

アフガニスタン・イスラム共和国初代大統領、ハーミド・カルザイ(反タリバン、父親をタリバンに殺害されている)も同時期にツイートしている。要約すると「パキスタンにおいて、アフガニスタンの平和を彼らのカシミール地方における目的を達成するために結びつける発言は、パキスタンアフガニスタンを(非常事態に後退できる)バッファー(緩衝地帯)と見なしていることに他ならない。パキスタン政府にはカシミール地方への政策措置として過激な暴力に訴えることを止めるよう要請する」(英文:"Comments in Pakistan linking peace in Afghanistan to their objectives in Kashmir are indicative of Pakistan viewing Afghanistan as strategic depth. I call on Pakistan government to stop using extremist violence as instrument of policy in the region."

 

アフガニスタンの人々も同様の懸念の声をSNSであげているようだ。これらはいずれも、インド政府の第370条項と35A条項の撤廃を受けた、パキスタンの野党党首の発言「カブール(アフガニスタン首都)が平和を享受し、カシミール地方が流血するのは許容できない」を受けてのものだ。ハーミド・カーザイのツイートはその「流血」がパキスタンが支援するテロ活動の結果だということを示唆しているとも取れるし、タリバンとしては、パキスタンカシミール地方の問題でアメリカに介入を求めることが、むしろアメリカのアフガニスタン撤退を遅らせると危惧しているのかもしれない。いずれにしても、アフガニスタンは今回のインド政府の第370条項と35A条項の撤廃に関しては中立の立場、パキスタン側につくことはなさそうである。

 

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