印度維新

インドの政治・経済・時事を語る井戸端ブログ

新設されたジャル・シャクティ省でモディ2.0の本気度がわかる

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ケララ州のモンスーン

今週、ケララ州に待ち望んだモンスーンが1週間遅れでやってきた。蒸し暑い季節が終わり、雨の季節が4ヶ月ほど続く。モンスーン前のインドの気温は地域差があり、ケララ州では30度半ばくらいだが、最も暑い北インドのラジャスタンの砂漠では50度に達する。実際、今年もインド北部を猛暑が襲っている。今月頭にはラジャスタンの乾燥地帯、チュルで気温が50.6度に達した。西部のマハラシュトラ州では水不足が深刻で、国内メディアによると一部地域の住民の多くが衣類の洗濯をやめたんだとか。だからインドでは、雨はいつでも、古代インドの時代から、恵みの雨だ。この4ヶ月間の雨がインドの年間降水量の75%を占める。今年は、インド気象局も民間の気象情報サービスも共に例年より低い降水量を予想している。インド工科大学の研究グループに至っては、国土の40%以上が今年干ばつに見舞われる可能性があると警告している(怖)

 

インドでは灌漑の普及が遅れている地域も未だ多く、農家は依然モンスーンに頼るところが大きい。経済の発展に伴い、政府が農業の効率性を向上させてきた結果、インドの自給率は高い。最後の大飢饉は1970代初頭だ。しかし、気候変動はインドにも影響を及ぼしている。水問題は今後もインドにとっては死活問題だ。地下水灌漑にも頼らなければいけない状況が今でも続いており、地下水面は下がり続けている。インド政府の水管理能力とその意識の低さには長年イライラさせられてきた。きれいな飲料水や農業用水の確保になぜもっと真剣に取り組まないのかと! だから第二次モディ政権(モディ2.0)で、Jalシャクティという水問題だけを扱う省が新設されると知った時は、第一次政権のイニシアティブがパワーアップされるんだと思って嬉しかった。ヒンディー語で"Jal"は「水」、"Shakti"は「力」だ。「水の活用で笑顔を取り戻す」のが、そのミッションで、BJPマニフェストにある「全ての家庭に水道管を引く」のが一番のプライオリティだということだ。それと同時に本腰を入れるのがガンジス川の浄化だ。ヒンドゥー教徒にとって聖なるガンジス川は、ヒンディー語ではGanga(ガンガー)と呼ばれ、川の女神の名前でもある。モディ政権がガンジス川浄化に本腰を入れる理由には宗教的要素もあるであろう。

 

Jal シャクティー省は水資源省と飲料水・衛生省を統合して新設された。でも、なんで大臣がガドカリじゃないのーっ? ちょっと不満。大臣にはガジェンドラ・シン・シェカーワト(51歳)が就任した。誰それ?重要閣僚ポストなのに〜!と思い調べてみた。第一次モディ政権では農業・農民福祉担当の閣外大臣であった。直近のメディアインタビューによると、自身も農業を営んだことがあるということだ。しかも、ラジャスタン出身! なるほど、適任かも。(ま、ラジャスタン出身だってだけでは期待できないけどね、コングレス党の閣僚を思い出せば) 国内メディアは最近、大臣就任後の彼の発言を「ガンジス川は2年できれいになる」と解釈して、ヘッドラインで伝えた。おや、大きく出たね、と思いきや、実際の発言は、「2年後には目に見える変化があるだろう」だった。下水処理や美化のため、これまでに着工された298のプロジェクトの内、過去4年間で98が完成されているということで、シェカーワトは楽観的なようだ。直近のメディアインタビューから受ける印象はまさに、"down to earth"。仏頂面だが、地に足がついた堅実なイメージ。美しく聖なるガンガー、早く見たい!

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ガジェンドラ・シン・シェカーワトJalシャクティー相

 

 

 

 

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